[小説] タイトル未定 第1話 論理教国2

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前回の続きです

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[小説]  タイトル未定 第1話 論理教国(1)
ーーーーーーーー注意ーーーーーーーーーーーー この駄文は完全なるフィクションです。 特定の人物、地名、その他あらゆる固有名詞、思想、宗教などなどは一切現実世界と関係なく、筆者の妄想です。 異世界ファンタジーだと思ってお読み...

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当時の欧州は数百年に渡り、第一聖教による強力な統治によって平和が保たれていたが、格差の広がりや政治的不満、独立志向、植民地の拡大などで世界は歪み始めていた。

第一聖教や聖教側各国からすると、ロジ島を占拠し南方侵攻の中継地として使いたいという軍事的理由、敵の出現による世論の団結と不満の矛先ずらし、第一聖教に歯向かうものへの見せしめなど多くの理由から、論理教国の独立宣言はまさに渡りに船といった具合であった。

第一聖教は邪教討伐を掲げて各国から軍隊を一気に集め15万に及ぶ大部隊を編成して強襲に向かわせた。

これに対し論理教国軍守備隊は2万人ほどであり、すでに勝敗は決しているように思えたが、結果は第一聖教の壊滅的被害に対して論理教国軍の被害は極小という驚異的な戦果を上げた。

これには数々の理由がある。

第一は情報戦だ。

論理教の秘密教員が徹底した情報工作や戦争扇動を行った。

「論理教は邪教である。即時打倒せよ!」 「論理教など我が第一聖教の前では塵芥のごとく!」

「論理教は未だ軍事力も乏しくインフラも未開発の状態だ。攻め落とすには今しかない」と世論や上層部を煽り立て第一聖教に本年中の行軍を実行させた。

論理教国の位置するロジ島は12月から2月にかけて雨季になる。荒れた天候の中の船による遠征は自殺行為に等しい。多くの軍艦や上陸舟艇がロジ島に辿り着く前に被害を受け、戦闘力が大きく損なわれていた。

第二に補給問題である。

聖教の支配地域から論理教国までは船で行くとかなりの距離がある。

そのため、陸地でロジ島の近くまで行軍し、そこから上陸用舟艇に乗り込むわけだが、大量の軍隊を一気に動員して行軍させたため、補給はパンクした。

軍の指揮統制は弱まり、無計画の略奪が発生し、各地でそれに対する抵抗が行われた。これにより、論理教国に向けられる戦力が格段に弱まった。

 

第三に立地と軍事技術である。

ロジ島は海岸線の多くを険峻な山脈で囲まれている。

強襲揚陸に向いた大規模な砂浜は一つしかなく、ロジ島にたどり着いた数少ない軍艦はその砂場に集結することになった。

強襲揚陸は基本的に艦砲による上陸地点の制圧後、部隊が上陸して地上を制圧する流れだ。

当時の軍艦に搭載していた艦砲の射程はおよそ3kmだったが、論理教国が独自に開発した新型野砲の射程は約6km。配備していた数は少数であったが、木造の敵艦を射程外から一方的に攻撃することが出来、第一聖教軍強襲艦隊は壊滅的被害を受け、撤退した。

この一連の戦争を論理教国は独立戦争と呼び、第一聖教の権威は大きく損なわれることとなる。

完全勝利とも言える大勝利だが、論理教国は複雑な心境であった。

そもそも第一聖教にはすでに優秀な軍事学者や気象学者がおらず、第一聖教側は聖教教皇から軍人、一市民に至るまで全員が平和ボケに陥り、かつ「無敵」という砂上で傲慢にあぐらをかいていた。

その証拠に聖教側ではすでに8km以上の艦砲は完成し、装甲艦をも考案していたが「軍事費は無駄」ということで、艦砲は旧型を流用し、軍艦も戦列艦を改良したものであった。

一方の論理教国側は、戦術的な条件が最高であり気象も味方している。優秀な学者と最新鋭の武器を配備し、独立を宣言する以前から開戦を予期していたために十分な準備が行えた。何よりこの戦いを国家の存亡に直結する決戦と位置づけていために自然と国家総動員のような具合になり、「数以外」では優勢だったのだ。

そして止むに止まれず論理教国は圧倒的な勝利をしてしまった。

論理教国上層部は「第一聖教は失墜した権威を取り戻すために軍備と作戦をねった上で再攻撃を行うだろう。しかもここまで徹底して叩いたゆえ世論は激情し、講和も難しくなるだろう。その時我々に果たして守りきれるのだろうか」と焦燥感に駆られ、さらなる防衛準備を行った。

しかしながら実際には第一聖教の影響力が弱まった結果、欧州の歪んだ社会は爆発、各所で独立運動や国家間の紛争が勃発し世界中を巻き込んだ大戦争へと発展したため、論理教への再出兵は不可能となった。

これを好機とみた教国の資本家たちは各国への戦争資金の貸与や兵器の売買仲介によって莫大な利益を得る。

欧州の大混乱を尻目に教国は飛躍的に発展し、さらに戦争資金の担保として各国が植民地のエイジアやアフリカーナの土地を設定したが、金を貸した国の不払いや国自体の消滅によりこれらの土地を獲得。領土と資源を大幅に増やすことが出来た。

論理教国は、獲得した植民地を用いて様々な社会実験を行い、夜警国家や設計主義社会などの失敗を経験し、結果、論理教皇を国家元首とし合理性を最重要視する独自のシステムを持った自由資本主義国家として独立を維持していた。

基本的には論理教国は積極的に戦争には参加せず、死の商人としての立場を貫いた。長い戦争の中で何度か攻撃を受けたこともあったが防衛行為のみを行い、大戦に巻き込まれることは極力控えた。

そして時は流れ、新暦905年、世界は新たな局面を迎えることとなる。

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