青紫陽花

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しとしと、ぱらぱら……。

6月の霧雨、梅雨の季節。

久しぶりのお休みを頂いたが、外に出るのも億劫で、ただただ暇を持て余している。

思えばここ数年、ひたすらに邁進していたように思う。

 

アイドルを卒業してから二週間が経った。

貴方に導かれ、私の人生は大きく実りあるものとなった。

始めは義理を通すつもりで。気づけば心底貴方に惚れていた。

何度も好意をぶつけてきたが、貴方はそれに気づかなかった。

「とわにお側に」

卒業するまではご迷惑だろうと思い言わなかったが、ついぞ言わず終いだった。

言う機会や時間ならいくらでもあったが、緊張と不安に勝てずに声が出なかった。

アイドルとしては一流となったが、これではまるで箱入りの少女ではないか。

体や立場が大きくなろうが、結局心はあの日のままだ。

そんな自分につくづく嫌気が指す。

 

「みなさーん!私は今ー!上野公園にいまーす!!!!」

なにとなく点けっぱなしにしていたテレビに果穂さんが写った。

すらりとした立ち姿に、大人びた雰囲気。しかし出会った頃と変わらない天真爛漫とした振る舞い。

随分と成長されたものだ。

果穂さんは傘をさしながら、梅雨の名所を紹介していた。

「今日は雨ですが張り切っていきましょうー!」

きゃっきゃと笑いながらお仕事をしている様子は、見ているこちらも楽しくなる。

「ふふっ…」

知らぬ間に笑みがこぼれた。

気がつけば、先程までの鬱屈した気がどこかに飛んでいた。彼女の明るさに元気付けられるのは果たして何度目だろう。

 

………

アイドルになってから、多くのことが変わった。

貴方に導かれ、私達は成長した。

事務所も順調に大きくなり、今では都心の一等地に第二事務所を構えている。

だが、変わらないこともある。

例えば事務所までつながる河川敷。仲間と走ったランニングコース。

そして、この社。

「また…来てしまいました。」

誰に言うわけでもないが、ぽつりとこぼした。

いや、八百万も神様がいるのなら、誰かしら聞いているやもしれない。

境内には青い紫陽花が咲いていた。

「凛世は……何を、しているのでしょう……」

 

「……あれ?凛世か?」

「……あっ。」

もしかしたら本当に神様は居るのかもしれない。

「やっぱり凛世だ!ってあれ?前もこんなことがあった気がするぞ?あれは確か桜の…」

「左様で、ございますね。もう5年ほど前だったかと存じます。」

「そうか。あれからもうそんなに経つのか」

「はい……」

いつもはもう少し会話が進むが、今日はなんだか弾みが悪い。

いや、緊張してしまって声が口から出ない。

「あ、すまん、凛世。雨の中止めてしまって…。どこかに用事か?近場なら送っていくけど…」

「いえ、ほんの散歩でしたから。プロデューサー様は…。」

「俺はその…なんだ。珍しく参拝というか…。そんな感じだな。凛世もどうだ?」

「左様でございましたか。それでは、ご一緒させて頂きましょう。」

貴方の隣を歩くのも随分と久しぶりに感じる。さした傘が少しだけ恨めしい。

 

二拝二拍手一拝。

二人で合わせるように手を叩く。

「……ぶつぶつぶつぶつ……」

眉間にシワを寄せて何やら一生懸命にお祈りをされている貴方。

しばらく見ていたいが、なんだか心配に思えたので声をかけた。

「……あの…プロデューサー様…?」

はっと我に返られた。

「おっとすまん。祈るのに集中していた!」

「何を、お祈りされていたのですか。」

少し慌てながら、貴方はごまかすように「なんでもないよ」と答えた。

二人でまた近くを歩き、屋根付きのベンチに腰を掛ける。

周りには誰もおらず、しとしとと雨音だけが二人を包む。

また、しばしの沈黙である。

だが、なんだか心地よい。

神頼みすることで覚悟が固まった。

今。ここで打ち明けてしまおう。否、今しかない。

 

「…プr」

「そういえば凛世」

「…はい。」

出鼻をくじかれた。

 

「先日、君はアイドルを卒業し、これからの活動について少し考える時間がほしいとのことだったが、考えはまとまったかな?」

「……はい。」

今だ。

「…もし君さえよければ、」

「プロデューサー様。」

賽は投げられた。あとは神のみぞ知る。

「お、おう」

「凛世の心はあの日から変わっておりません。」

「というと…」

「凛世は、貴方のお側を、片時も離れたくありません。ずっと、近くに置いてくださいませ。それだけが、凛世の望みでございます。」

「………」

「ですが、これは凛世の独りよがりの我儘でございます。あくまでもお決めなさるのはプロデューサー様。どうぞ……ご随意に。」

「………」

「あ、あのプロデューサー様?」

「………」

反応がない。もしかして伝わっていなかったのだろうか。それなら……

 

「すき……でございます。プロデューサー様。」

 

「ゴフゥーッ!!ドシャーーーーッ!!!」

「ぷ、プロデューサー様……!だ、大丈夫でございますか!?」

私は驚きながら、凄い勢いでベンチから転がり落ちた貴方を助け起こす。

「い、いや。大丈夫だ。うん、平気だ。そのいつもすまんな」

ベンチに這い登りながら貴方は土を払う。

「いやぁー…」

「は、はい。」

「その…、それでは、俺の話を気持ちを聞いてくれるか?」

「はい……もちろんでございます。」

すぅと息を吸い込み、貴方は決心したかのように口を開く。

「俺は、凛世と、一緒に人生を歩みたいと思っている。アイドル杜野凛世ではなく、一人の女性として。」

「……つ、つまり……」

「凛世、結婚してほしい」

「!!!!!」

……すぅ……。

「あ、ちょっ、凛世!結婚と言ってもまずは清いお付き合いk、ちょ大丈夫か、凛世?凛世ーーーーッ!!!」

 

 

………………。

…すぅ……。

すぅすぅ。

がちゃ。

「……………?」

静かだが、確かな物音で私は目を覚ました。

だが、実に清々しい気持ちだ。

「おっと、すまない。凛世、起こしてしまったか?」

貴方様は私目覚めるのを見てすこしバツが悪そうにされた。

「いえ、構いません。」

ふと窓を見つめると、しとしとと霧雨が降っていた。

「夢を……見ていました。」

貴方様は不思議そうに私の顔を覗いた。

「そうか。良い夢を見たのか?」

「はい。とても、良い夢を見ました。」

「どんな夢を見たんだ?」

私の近くに腰を掛けながら貴方は微笑む。

「それは……内緒……でございます。ですが、いつか話せる日が来るかと…。」

「それは楽しみだな」

 

「ええ、この子が生まれた時にでも。」

 

 

 

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あああああああああああああ!!!!!!!

なんつ−恥ずかしい文を書いているんだ俺はァーーーーーーッ!!

THE☆失態!!

助けてくれ…!

すごく汚い文章なので、ちょっと冷静になってからまた書き直します…。

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