[軍事]戦術原則図解百題1、2 前進目標の選び方 [戦術原則図解百題]

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ごきげんよう、古川だ。

以前、軍事の戦術を学ぶ上でおすすめな書籍などを紹介した際、「戦術原則図解百題」を用いると申した。

大分それから時間が経ったが、今回から「戦術原則図解百題」を使って、野戦の基礎戦術を紹介していきたいと思う。

一応幹校で戦術基礎を学んではいるが、解説を書いていた時期は普通の一般人であったため、間違いも多い。その点をご了承願いたい。

戦術原則図解百題とは?

その前にこの戦術原則図解百題とはそもそも何なのか説明したいと思う。

これは昭和8年、1933年に刊行された、陸軍士官向けに書かれた野戦戦術の基礎が書かれた書物である。

実は終戦以前は現在とは比べ物にならないほど多くの学術的な軍事書物が民間組織から観光されていた。

これは恐らく陸軍幼年学校などの制度によって現在よりも軍事書物に対する需要が多かったためだと考えている。

本書、戦術原則図解百題もそのような歴史を持つ一冊である。

なお、当然ながら著作権は切れているので国会図書館デジタルコレクションにて誰でも無料で閲覧することができる。

戦術原則図解百題 - 国立国会図書館デジタルコレクション

現代にも通用するのか?

1933年に書かれたものであるため、現代とは大きく異なっている場面も当然存在する。

例えば、夜間や薄暮(夕暮れなどの薄明るい時間帯)での正規軍隊同士の野戦は、昨今の暗視装置の発達によって大きく変容した。

また、33年当時は可能であったガス戦は、現代の自衛隊や米軍は基本的に行うことができない。ガス戦を現代で語るとすれば、「敵に使われた際にどう対処するか」と、催涙弾などによる非殺傷武器を有効に使う方法程度しかないだろう。

更に兵器・装備も当時よりも格段に進歩し、戦車等による機動戦はより迅速かつ長射程、高精度となり、そうした点も考慮するべきだ。

 

とはいえ、一般的な野戦での砲の配置や、隘路(谷や橋などの細い道)での戦闘、撤退戦の概略などは、現代に置いても依然変わりなく有効であり、こうした野戦戦術の基礎を学ぶことは初・中級幹部に於いて重要であろう。

1&2 前進目標の選び方

それでは早速紹介と解説を行おう。

今回のテーマは「前進目標の選び方」である。

下図を参照いただきたい。

(見づらいのはご勘弁ください)

前進する目標の選び方、

その一般原則は、

「任務を達成するために必要な目標を定めて、進路と拠点を決定する。」

「敵の規模や、有利な地形などを判断することが大切」である。

そのために「敵情視察は肝要」

また、敵の動きに合わせて動く「追動」は極力避け、出来得る限り「主動」を心がける。

(主動を行うことで攻勢に持っていきやすくする)

第2の図の解説

以上を踏まえて、実際に第二の図でシミュレーションしてみよう。

この図の状況は

・敵部隊は32km前方(8里)のC地点にいる。

・我が部隊はA陣地におり、兵力と装備は敵の半数である。

・我の任務は後続部隊の到着までに陣地を占領し、これを守備する。

・占領する陣地の場所は問わない。Aよりも後方も可。

である。

解説

それでは我が部隊はどの地点を占領するべきだろうか。

ここで前提となるのは、「迅速な防衛は攻勢に勝る」というルールだ。

守備側は早急に陣地を決定することで、攻めに来る側よりも時間的に優位に立てる。

敵が攻めてくるまでの時間を、塹壕を掘り、砲の測量をし、装備の整備に当てることができる。

これが防衛の優位だ。

また、高台等の陣地を迅速かつ主動的(主導ではない)に決定して占領することにより、

相手は不利な立場から攻めざるを得ない。

今回の任務は後続隊の到着までの陣地守備であり、以上のルールを前提に陣地を決定する。

 

そうすると、B~C間は、敵に近く、圧倒的に不利だ。陣地目標にすべきでない。

もしB附近に前進する必要があれば、前衛先遣部隊をBC間に派遣して敵の前進を遅らせ、その間に我が迅速に拠点を占領する。ただし、先遣部隊が各個撃破される恐れもあり、防衛の優位も不十分となる。

AまたはA以前の地形が大変優れていれば、そちらを陣地としても良い。そうすると敵よりも多くの時間を稼ぐことが出来、防衛の優位を最大限発揮できる。

だが、後続隊が到着していざ攻勢に転じる際に今度は敵側の防衛優位になるので、そこは注意が必要である。

 

従って最善手はB~A間の良好な地形を占拠することである。

まとめ

結論としては、「自分に近いほうが強いよね。ただ、攻めるときは移動時間がかかるよね」という感じ。

当たり前といえば当たり前だが、まだ第一回だから…。入門だからね。

次回はより複雑な「橋がある場合」などを考察していく。

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